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Category: Computer
Microsoft が インストール不要無償のウィルススキャナ「Microsoft Safety Scanner」をリリースしました。

まだ試用していないですが、素晴らしい動きだと思います。

Microsoft に一銭の利益も生まないこの施策は、言うなれば「生活保護」。
海賊版 Windows を使っているようなユーザ層が、サードパーティの (怪しいセキュリティソフトをダウンロードする) リスクを負わずにマルウェア対策をすることができ、結果として Windows プラットフォームの価値を落とさずに済む、ということです。

勿論、海賊版を使われることは Microsoft の本望ではないですが、そういうユーザが一定数居ることも確か。
それらのユーザによって「Windows はウィルスに弱い」という噂が立てば (あるいは統計的に --- 海賊版 Windows も Windows であることに変わりはないので --- 示されてしまえば)、ブランドに傷が付くだけでなく、他の (正規版を含む) Windows へのウィルス蔓延、ボットネットの増加など、PC とインターネット全体に渡って悪影響を及ぼすことになります (「生活保護」に対する「スラム」のような感じですね)。

一方で、Microsoft Security Essentials (MSE) という無償のソフトウェアがあります。こちらは 正規の Windows を実行している PC のみダウンロード可能、というところがミソ。言うなれば「健康保険」に近い概念で、税や保険料(= ライセンスフィー)を納めている人に対するサービスという位置付けです。

ところで、MSE が対象とするのは、個人または 10 ユーザ未満の小規模ビジネスです。そこで Microsoft にはもう一つ、Forefront Endpoint Protection (FEP) という製品もあります。これは企業向けのセキュリティソフトウェアで、有償 --- 例えるなら「法人税」が近いでしょうか --- のサブスクリプションとなっています。

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つまるところ、「金のある所から取り、ない所に回す」という社会構造が、Windows プラットフォームを中心として出来上がっている、と言えると思います。
今回の Safety Scanner のリリースによって、また一歩、Windows が「数ある OS うちの一つ」から「情報技術の基盤」へ進んでゆこうという姿勢を、Microsoft に感じとることができました。

# 蛇足: まぁ、同時に言えることは、Apple にはこういう施策が必要ないということです。理由は言わずもがな。

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